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2025年世界はこうなる(原題『The World Ahead 2025』)

2025年世界はこうなる(原題『The World Ahead 2025』)

英エコノミストが発行した『The World Ahead 2025』では、編集者トム・スタンデージ氏が2025年に注目すべき10のテーマを序章で紹介しています。

エコノミスト発行の『Megatech: 2050年の技術』は、弊社が共催した東京英国大使館でのセミナー&レセプションにおいて紹介されました。

 

国連が2025年を量子科学技術年と宣言したのは妥当な事に思える。なぜなら、閉ざされた箱の中で生きている状態と死んでいる状態の重ね合せの状態(量子力学の思考実験において)になったシュレーディンガーの猫と同様、2025年は二つの全く異なる状況が重なり合う状態にさまよいこんだと言えるからであり、それはアメリカの選挙結果により明らかとなった。投票箱が開けられた今、世界はどちらによる2025年になるのか知ることとなった。すなわちドナルド・トランプのホワイトハウスへの復帰である。それが確実となった今、来る年に注目すべき10のテーマを以下にまとめた。

  1. アメリカの選択

トランプ氏の圧倒的勝利の波紋は、移民問題や防衛、さらに経済や貿易に至るまであらゆる分野に広がるだろう。彼の「アメリカ・ファースト」政策は賛否どちらも予想され、アメリカの同盟関係の堅固さを問うものになるだろう。その先にあるのは地政学的再編、緊張の高まり、さらに核拡散の可能性でさえある。

 

  1. 投票者のかける期待

2024年は過去に例を見ないほど多くの選挙が相次ぎ、全般的に見れば多くの現職政権が望まぬ結果に終わった。ある政党はお払い箱となり(アメリカ、英国)、あるいは連立を余儀なくされたり(インド、南アフリカ)、保革共存に追い込まれた(台湾、フランス)。それは取りも直さず、2025年は期待の年になるということである。新しい指導者たちは自らが約束したことを実行できるだろうか?敗退した指導者たちは変わるだろうか。それが起こらなければ、社会不安が引き起こされるだろう。

 

  1. 広大する無秩序

トランプ氏はウクライナにロシアとの取引を迫り、ガザとレバノンの紛争におけるイスラエルの他からの干渉を受け付けない行動を支持する可能性がある。アメリカが商取引志向を強め、諸外国のもつれた状況に懐疑的スタンスを取ることによって、中国、ロシア、イラン、北朝鮮(「カオスのカルテット」)による問題勃発や、危機的状況にあるスーダンで見られるような地域大国による更なる干渉が助長されることになるだろう。しかし、台湾を巡る対立や南シナ海での緊張が高まる中、アメリカが中国に立ち向かうか否かは不透明である。

 

  1. 関税の行方

現時点でアメリカと中国とのライバル関係は、トランプ氏が米国の同盟国をも含めて制限を強化し関税を引上げることにより、貿易戦争の様相をより明確に呈することになるだろう。保護主義が強まる中、中国企業は貿易障壁を回避し、グローバルサウスで新市場を開拓することを目指して海外に拡大している。デカップリング(分断)にもかかわらず、中国企業はメキシコからハンガリーまで工場を建設するなど別の計画を押し進めている。

 

  1. クリーンテクノロジー・ブーム

中国政府は国内経済の低迷との相殺を図るために、太陽パネル、電池、電気自動車の輸出急成長を後押ししてきている。その結果、太陽パネルやグリッド・ストレージが予想以上に採用されるなど、中国主導のクリーンテクノロジー・ブームが起こっている。世界全体のCO2排出量のピークが過去のものとなったかどうかを、世界は近いうちに知ることになるだろう。

 

  1. インフレのあとに

富裕国の中央銀行はインフレ制圧に勝利した。そして今、欧米経済は新たな課題に直面している。それは増税、支出削減、あるいは成長促進による赤字削減である。多くの国では防衛予算の増加も必要となるかもしれない。苦汁を飲まされるような経済的選択が視野に入ってくることは否めないだろう。アメリカでは莫大な輸入関税が成長を妨げインフレを再燃させるなど、トランプ氏の政策は事態を悪化させるだろう。

 

  1. 高齢化問題

アメリカは、過去最高齢の次期大統領を選出したばかりである。世界の指導者たちは国民と共に高齢化している。政治指導者の年齢制限について議論が深まることが予想される。一方、中国は高齢化していく世界に経済的活路を見出そうとしている。それとは対照的に、中東の一部の国々は若者人口の急増と職の不足という相乗効果で、不安定リスクを抱えている。

 

  1. AIの正念場

それはビジネス史上最大の賭けである。企業は今もってその使い方がわからず採用率が低いにもかかわらず(もっとも多くの社員が実は密かに使っているのかもしれないが)、人工知能(AI)のデータセンターに1兆ドルを超える金額が投資されている。投資家は平常心を保ち続けることができるのか、あるいは「エージェント型」システムの能力が向上しAI開発の薬が出現するに至り、AIがその価値を証明することになるのか?

 

  1. 人の移動における問題点

物だけでなく、グローバル規模での人の移動による軋轢が増大する。紛争によって世界の航空界は混乱をきたしている。ヨーロッパが新たな国境検問の仕組みを取り入れるに至り、国境なきシェンゲン協定はその意味を失いつつある。「オーバーツーリズム」に対する反感は2025年には和らぐだろうが、アムステルダムやベニスを含む多くの都市で導入された規制は今後も残るだろう。

 

  1. 驚きと隣り合わせの生活

暗殺未遂、爆発する無線機、そして、チョップスティックス(箸)にキャッチされる巨大ロケットなど、信じ難い出来事を予期することが2024年の一つの教訓であった。2025年に起こり得る信じがたい出来事とはどんなものであろうか。弊誌の「Wild cards」セクションでは、破壊的な被害をもたらすな太陽嵐や失われた古代文書の発見、あえて言うならまた別の世界規模のパンデミックなど、今後注目に値する事柄を列挙してみた。

 

The World Ahead: 2025 © 2024 The Economist Newspaper Limited, Londonより。

無断複写・転載を禁じます。

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